復活日記
written by YOLY
生まれ変わって、虫になって。

Back To Index 復活日記 筋少日記 静謐日記

最新七日間を表示

月別表示
<<  2005/9  >>
SMTWTFS
123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930

語句検索

RSS

 2005 /9 /30
・ロッキンホース ラバーソウル(4/4)
 バンド活動は女子が入ったことにより、
 自宅録音ではなく、スタジオでやるようになっていった。

 月6千円の小遣いで、
 毎週千円の出費は痛かった。

 曲も、オリジナルではなく、
 彼女が入る少し前からやっていた、
 「Live'n on a Prayer」や、
 彼女が好きなアーティストがスカンチと
 レッドツェッペリンだったことから、
 「Rock 'n' roll」なんかをやった。

 はっきり言って苦痛だった。
 なんというか。

 俺洋楽ってやつがどうも苦手で。
 いや、英語じゃないっすか歌詞。
 英語ってだけで脊髄反射的にダメなんですよね。

 まあ、それでも必死で覚えて歌うんですけど、
 やる気が無いからうまくないわけですよ。
 やる気があってもうまいかどうかは解りませんけど。

 毎回、終わるたびに彼にダメだしされるようになるんですね。
 あれ?俺がやりたかったことは本当にこんなことなのか?

 それにね、
 コピーバンドって、
 はっきり言ってヴォーカル面白くないんですよね。
 別に好きでも無い歌の場合、
 ただの、へたくそなカラオケ状態ですからね。

 そんな中、
 キーボードをやっていた男が
 高校3年をなった事を契機に、
 受験に専念したいからという理由でバンドを辞めた。

 彼はその後国立大学の医学部に入学し、
 今では医者をやっているから、
 この選択は全くもって正解だったというべきだろう。

 そのキーボードの変わりに入った男。
 こいつが最高のやつだった。

 どれくらい最高かといえば、
 たとえて言うなら、行動力のあるバカ。

 僕の言う彼が、『企画力』のあるバカで、
 その、新キーボードは『行動力』のあるバカだった。

 彼の伝説はいろいろあるが、
 一番面白かったのは、
 告白した女の子に、
 『ごめんなさい、ずっと友達で居ましょう』
 と、書かれた手紙を貰って、
 OKだと勘違い。
 学校に持ってきて自慢しているところを、
 先生に没収される。
 しかも、その子は従姉妹だった。
 なんていう話もある。
 ボクも自慢された一人だ。
 かわいそうだから、『おめでとう』と言っておいた。

 彼と、その男が組んだことにより、
 最高は最悪になる。

 彼らは、その元キーボーディストに嫌がらせを始めるのである。
 ボクはその元キーボードとも仲良くしてたので、
 そういう事をする彼らを厭だなあと感じていた。

 で、ある日、練習を週一時間から二時間にしようという彼に、
 お金が無いので無理だ。
 もう、面白くないから辞めさせてくれ。
 と、言い出した。

 彼は激怒した。
 『ボク』が居なくなることではなく、
 『ヴォーカル』が居なくなることにだ。

 勿論、ボクにも嫌がらせが始まった。
 「昨日、君の名前で『さぶ』(男色専門誌)に投稿しておいたから」
 という置手紙が置いてあったり、
 (余談だが、ボクは最近までコレをたちの悪いジョークだと思っていたが、
  例の行動力のあるバカは、本当に電話をかけた…らしい)
 いきなり写真を撮られて、落書きされた写真が机の中に入ってたり。

 だが、彼は二つ勘違いをしていた。
 1つ。ボクはもともといじめられッ子で、
    そういう仕打ちには慣れていたこと。
 2つ。彼が味方にした行動力のあるバカは、
    行動力があるバカゆえに、みんなから嫌われていたこと。

 この二つだ。
 彼らの嫌がらせには腹も立ったし、
 うざいとも思った。彼を憎みもしたが、
 そこは元いじめられっ子。
 どういう反応をしたら彼が一番喜ぶかを知っているから、
 彼が一番喜ばないような方法をとった。
 簡単である。彼らがやっている事を楽しんでいるふりした。

 ただし、過剰にやってはダメだ。
 それは逆に彼らを喜ばせることになる。
 さりげなく、だ。

 彼らにしてみればその反応は意外だったのだろう。
 嫌がらせはだんだん落ち着いた。

 その後、彼らはクラスで最も発言力のある男に逆らい、
 逆切れして、『行動力のあるバカ』が、そいつに腐った卵をぶつけ、
 それを密告され、
 卒業を前にして、教師に呼び出しを食らうという
 頭の悪いことになったという話を聞いたが
 本当かどうかはしらない。

 ただ、卒業後に一回だけ行われたクラス会。
 唯一、彼にだけは連絡が行かなかったという話しだ。
 何でかって。
 最初に、彼に連絡をまわしてくれと頼まれたのがボクだった。
 『仲良かったでしょ』って。
 『いや、仲悪かったよ』と断ったら、
 他は誰も相手にしてくれなかったそうだ。
 ちなみに、『行動力』のあるバカは、同じクラスメイトではない。
 ただ、『行動力』のあるバカは僕は嫌いではない。
 彼は、何か間抜けで憎めないのだ。
 四年前、一回、電話で話をしたことがあるが、
 『俺、教師の才能がある。今、生徒と付き合っている』
 と言っていた。
 うん。変わってないな。
 そう思った。

 ちなみに、彼が今どこで何をしているのかは知らない。
 事あるたびにクラスメートだった人に聞いているのだが、
 まあ、つながりがあれば、あの時クラス会にも呼ばれているよなあ…。

 「Live'n on a Prayer」を聞いていると、
 ああ、あの時ここをこう歌っていればもしかしたら、
 彼とは今でも―と、思ったりするのだ。


Back To Index 復活日記 筋少日記 静謐日記