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2010
/7
/21
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・1.棒
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家の隣に、小さな公園がある。
毎日、家に帰るときは、その公園の横を通る。 公園と言うからには、人が溜まる。 深夜だと言うのに、人が居ることもある。 浮浪者が居たり、カップルが居たり。
その夜は、カップルが居た。 ちらりと見ると、2人とも棒を持っていた。 直径10cm、長さ1m位の棒だ。
女の人が持っている棒は、 男の人が持っている棒より、少し短いように見えた。
何をしているのかわからないが、 何だろう? 棒術の練習か、天然理心流かとちょっと気になったが、 深夜だったし、疲れていたので素通りした。 2人も、何やら会話に夢中で、こちらに気づいてはいないようだった。
次の日も、2人は棒を持って立っていた。
その次の日も、居た。
次の日は土曜だったので、夜にそこを通ることは無かった。 その次の日は、日曜だったが、友人と酒を飲んで、深夜になってしまった。 酔いながら、公園の前にさしかかった。 今日も居るのかな? と思って見ると、2人は居た。
向かい合って、何やらしゃべっている。 普段は、疲れているし帰ろうと思うのだが、 酒が気を大きくさせたのかもしれない。
ふと、立ち止まって見てしまった。
止まった足音に気付いたのか、 男がこちらを向いた。 目が合った。
そのあとのことはあまりよく覚えていないのだが、 次の日から、2人はその公園に現れなくなった。 あれは、いったいなんだったんだろうか。
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