RSS
|
|
|
|
2003
/5
/27
|
・無味
|
白い、四角い物が在ったと思って頂きたい。
四方が白い空間であった。其の中心に私は居た。私の名は、思い出せないで居る。恐らく、脳の中にある記憶を省みるに私の知っているこの言語は日本語という物であるらしい。と、言うことは此処は日本か。亜細亜の極東にある小さいが、決して見過ごせない国。…で在るという記憶がある。ぽっかりと、自分という物に関しての記憶が無いのだ。私は日本人なのだろうか。上も、下もまた、白い壁が存在している。これは、そう、白い箱の様なものなのだ。
又、箱か。 又、箱さ。 昨日も箱について書いていたじゃあないか。 そうだったっけか。昔の事は思い出さないことにしているのだ。 詩人ぶるな。狙っているのだろう。 うん、君はいい。僕の心に戸を立てない。 だとして、どうして箱なのだ。京極夏彦にかぶれたか。それなら匣だろう。 うん。魍魎の匣だね。それもあるかな。まあ、それなら筥でも良いのだがね。 いつもの、精神障碍気取りか。 別に僕は精神障碍を気取っているつもりは無いよ。実際そういう点は在るが、本当の障害染みた事は未だ書かなくて済んでいる。 済んでいる。とは、まあよく言ったものだが。それではいつも書いているあれは何だ。 虚構、妄想、構築、と思ってくれ給え。確かに思考の箱の中にあるが其れは箱自身ではない。 又、箱か。 又、箱さ。 何故、箱なのだ。 君は「はこ」という字をどれだけ知っている。 先に出た、匣。そして、筥。そんなものか。 他に、当然ながら箱。函。筐。笥が在る。 ああ、函館の函だね。あれも、そうなのかい。 当然だろう。河野政通が作った館が箱のようだったから箱館と、名づけられたのだ。 函館だろう。 君は無知無教養だなあ。箱館戦争を知らないのか。明治2年、蝦夷が北海道となったとき、箱は函になったのだよ。 箱は、函になった。 そう、箱は函に成った。
箱の中は白く、白く、白く。此処は本当にこの世なのだろうか。僕はもしかしたら死んでしまったのかもしれない。名前もわからないってことがあるか。いくらなんでも、そんな馬鹿な話しは無い。この僕の脳という箱の中にはたくさんの記憶が、脳がみっちり詰まっているというのに。自分に関してだけはぽっかりと、箱が箱の中に存在しているが如くなのである。箱の中の箱。僕は露西亜のマトリョーシカと呼ばれる人形を思い出した。
未だ、続くのか。 無論、未だ続く。 然し、自分の記憶がなくなることなど、ありえるのかね。 君は、愚かだ。 何。 君が君であるということの保障は何だ。 僕が僕であるということの保障だと。 そう、では、君の名前を言ってみるが良い。 だ。 か。其の名前は聞いたことがある。確か君の名前だ。 だから言っているだろう。僕の名は だ。 何故、そんなに自信を持っていえるのだ。 僕は知っているからさ。自分の名前が だ。ということを。 其れは、何故知っているのだ。 。 。 この文に意味はあるのか。 さあね。そんな事は知らないよ。僕は別に森羅万象に明るいわけではないからね。 又か。 又さ。ただひとついえることは、仮に意味はなくても、味はある。
意味は無い。然し、味はある。勿論、虚構、妄想、構築で在る。
|
|
|