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2005
/10
/24
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・自転車操業(解決編)
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この日記を読む前に、 問題編をお読みください。
ペラペラとプリントアウトされた僕の日記を読んで彼は、一息ついた。 「なるほど。そうか」 すっくと彼は立ち上がると、コーヒーを口に含み、パソコンをいじりだした。 「えっと、君のサイトのアドレスは…king-show.comだったよね」 僕に確認を撮ると彼は僕のサイトを読み出した。 「おい、恥ずかしいだろう」 僕は彼が熱心に読むのをさえぎろうとしたが、遅かった。 彼は口元に微笑を浮かべ、僕に言った。 「なるほど。確かに強引な推理が必要だ」 「ならば、君は全てわかったというのかね」 「もちろんだとも。全てね」 彼は再度コーヒーを口に運ぶ。 「問題点は3つ…いや、もっとあるかな。まあいいや。 とりあえず3つということにしておこう」 指を3本僕の方にむけて言う。 「1つ。鍵はなぜ左ポケットに入っていたのか。 2つ。欠落した記憶は何なのか。 3つ。この事件が起こった日付はいつなのか。 多分、これが判れば自ずと全てわかるのではないかと。 1つめから行こう。 君は鍵がポケットに入っていたことに異常なまでに執着している。 左に入っていたことがさほど重要でないのならば、 ここまで左のポケットに入っていたことに執着しないだろう。 次に、欠落した記憶だ。 坂を下りて本屋に入るまでの描写は細かく書かれているのに、 それ以前の情報が全く無い。 これは、君が意図的に隠したものだと想像できる。 ちがうかな」 「確かに」僕は言った。「でも、それはその時の僕だってそうだったんだ」 「そうだろうね。でも、これを書いている時点の君は知っていた… だから、隠し方が不自然なんだ」 「不自然だったかな」 「不自然さ。本屋の下りがこんなに詳しく、書名まで書いているって言うのに。 まあ、いい。不自然なところには何かしらの意図が隠されているんだろう。 自転車の鍵も同じさ。 さて最後だ。時間は結構細かく書かれているって言うのに、 此処には日付が全く書かれていない。 まあ、書き忘れたということもあるだろうがね。 此処が気になった。 あえて隠しているのではないかとね」 「ふ…ん。まあ、その通りだけどね」 「さて、これをとく鍵は此処にある。 えっと、なんだっけそうそう『ヒントは全てこの日記にある。』だったか。 ヒントは全てこの日記…この、日記。 『この』は『どの』日記なのかということだ。 2005年10月21日の3つめの日記なのか、 降臨日記なのかということだ。 まあ、単純な言葉遊びだね。 ヒントは全て降臨日記に書いてあったんだ」 僕の背中に汗が流れた。 「続けるよ。まず1つ目。鍵はなぜ左ポケットに入っていたのか。 右手で鍵をかけた時には右ポケットにしまうと書いているのだから、 左手で鍵をかけたということだろう。 では、なぜ右手を使えなかったか。簡単だ。 右手が何かでふさがっていたからだ。 右手を怪我しているという描写は無いし、流石にそれはフェアじゃない。 他の日付の日記にもそんなことはかかれていない。 右手に何かを持っていたからと考えるのが妥当だ。 だとしたらそれは何なのか。 『いつもどおり肩にかばんを提げ』とある。 つまり、かばんはいつも持っている…それはかばんでは無いということになる。 では、何を持っていたのか。これが次の鍵につながる。 此処からは色々複合して考えなければいけない。 本屋に入った時の記憶はあるのだ。 本屋に入る前に自転車を降りたことは記憶している。 本屋に入った時に荷物を持っていたのだとしたら、 本屋でかばんに本をしまう描写の時にそれが出てこないのはおかしい。
でも、確かに、そう、それから本屋に行き、 ウルトラジャンプを受け取り、かばんを開け、 ウルトラジャンプをしまい。
とあるね。全く右手の荷物について触れていない。 つまり、自転車から降りた時にあった右手の荷物が 坂を下りたときにはなくなっているということに他ならない。 右手の荷物は何処へ消えたのか。 さて、そこでこの降臨日記の出番だ。 10月19日の日記にこうある。
今日、自転車にまつわる話があったんですけど… 後日に回します…。
後日、自転車の話が登場するのはこの話が始めてだ。 つまり、この出来事は10月19日水曜日にあった出来事ということになる。 さらに、このことを踏まえて他の日記を見てみると、 10月21の日記にこうある。
ゲームボーイミクロ+PLAY-YANを買ってみたんですけど、 やっぱり見なかったですね。 そうこうしているうちに、PLAY-YANが品薄で。 ヤフオクで変なプレミア付いてたんで売っちゃいました。 miniSD512MBと一緒に。 月曜に落札されて。火曜に入金確認、水曜に郵送。
そう、君はPLAY-YANを水曜に郵送しているんだ。 右手の荷物を郵送したと考えることが出来る。 まあ、これはちょっと強引な想像も入るけどね。 わざわざ郵送した曜日まで書いているのだ。これで合っていると僕は考える。 発送ではなく郵送と書くのもおかしい。 郵送ということはつまり… さて、結論だ。コーヒーも冷めてきた。 君は、郵便局の前に自転車を止めた。 自転車を降りる時右手でPLAY-YANを持っていたため、 鍵は左手でかけた。その結果、左ポケットに鍵を仕舞った。 PLAY-YANを発送後、自転車には乗らずに… このとき乗っていたら、鍵は右ポケットに入るはずだからね。 いつもの駐輪スペースの坂を下り本屋に入った。 つまり、郵便局の前に自転車は止めてあった」 僕はがっくりと肩を落とし、彼の推理に感嘆した。
とまあね。こういうことです。 答えは「郵便局の前に止めてあった」です。 わかった人はいるかな?
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