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2006
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・GW特別企画 私は如何にして会社を辞めたか 〜 地獄変
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静謐日記に、blue君はそこしか受けていないと書いていますが、 決して対照的ではありません。
僕の受けたのなんて、昨日書いた14社に、受かった1社加えて、 15社ですからね。
しかも、実際にエントリーしたの10社。 面接まで行ったの6社、内定でたの1社ですからね。
大学の同級生を見ていると、 エントリー100社。 面接30社。 内定5社。 と、大体こんな感じでしたからね。
ダッテドウシテモゲームガイシャイキタカッタンダモン。
ちなみに、受かった会社。
1次試験は、数学とプログラムのペーパー試験。 その後、400問のSPI(学力判定ではなく性格判定の方)を解かされ、 そのまま集団面接……だったかな。
もし、専門学校でプログラムの勉強をしていて、 将来ゲームプログラマーになりたいという人は、 数学の勉強をしておいた方が良い。
特に、三角関数・行列・線形代数・一次変換ができると重宝されます。
プログラムは、プロからしてみたら、 専門で何年やっていようが、五十歩百歩。 たまに抜きんでて凄い人がいますけど、 それになるのは難しいですよ。
ちなみに、僕と同期のプログラマーは僕を含めて6人居たんですが、 そのうち3人はプログラムを書いたことがほとんど無い人で、 のこりの3人の内1人はダイレクトXも構造体も知らない人でした(←コレが私)。
この数学のテスト、 入社後に下の代で受けた人の答案を見せて貰いましたが、 専門学生は兎に角数学ができなすぎます。 まあ、大学生でもできない人はいますけど、
sinθ/cosθ + cosθ/sinθ
って問題がありまして、
= ( sinθ + cosθ ) / ( cosθ + sinθ ) = 1
っておまえは、アレか、 週刊文春とか週刊朝日とかに、
最近の大学生は 1/3 + 1/2 = 2/5 ってこたえちゃうんですよ。 ゆとり教育が云々。 と言われちゃう人か!!
と思います。 ちなみに答えは、1/(sinθ・cosθ)です。
まあ、普通の人がコレわかんないっていうのは良いですけど、 プログラマ目指すんならこれくらいは。
ちなみに、彼の履歴書も見たんですが、 得意な科目:数学 って書いてあったのは、内緒です。 もちろん落ちましたよ。
面接はなんか、最近気になったニュースとか、何故この業界を目指したかとか、 そんなことを聞かれまして。
みんなこんな秋採用に残っている人だから香ばしいこと香ばしいこと。
まず、声を張らない。 人と同じことを言う。
周りが自分よりアレだと思うと、もう、何か自信持っちゃって。 声は張れるわ、面白いこと言えるわ。
最近気になったニュースって、 2001年10月であれ以外に気になるニュースなんかねえっつーの。 と思いつつ、「最近銀河の中心がブラックホールになっているという云々」 という、塾講師やってたから得た知識を疲労したり。
面接は4人だったけど、 案の定、残り3人は飛行機つっこみ事故について、 特に思いもないくせに言って、 じゃあ、最近のアメリカとの情勢は等々の突っ込みに、 あたふたしてた。……ような気がする。
ここでワンポイント。
最近気になったニュースを聞かれたら、 嫌みにならないように、相手の知らないニュースを言おう。 つっこまれないから。
まあ、これは僕が塾講師時代に生徒に教えてたことなんですけどね。 あまりの高尚なこと言い過ぎると、 相手の反感を買うから要注意やで!!!
あと、業界通風いたなあ。 業界通風っていうか、もう、痛風って感じですけど。 ○○さんのところでバイトしたことあるんですけど云々、 ××さんのところでは△△が売れなかったじゃないですか云々。 痛いなこいつと思ってたら、案の定、2次面接にはいませんでした。
……しまった。入社後の地獄変なのに、まだ入社してねえ。 早く買ってきたテトリスやりたいんだっつうの。
で、面接の後、アンケートがあって、 「今の面接は自己採点で何点ですか?その理由は?」 って書く欄が。
もう、どうとでもなれ。と思っていたので、
100点 己の人生に後悔したくないため。
と記入。 コレが功を奏したのか、一次面接突破。
二次面接は役員面接。 役員面接後に同じアンケート。
……一次でああ書いちゃったしなあ。 まずいかなあ……と思いつつ、
又同じ事を書く。
まあ、それで受かったんだから、 アレはアレで良かったのかなと。
で、やっと入社か。なげーなおい。
入社してから、チーム配属があって、 僕は自分の志望したチームに上手く入り込むことができた。
この志望は、当たりでもあり、外れでもあった。
まあ、何でそのチームを志望したかってのは、次回に書くとして、 そのチームで、僕が任された仕事。 そ・れ・は、
2Dの表示だった。
もっと具体的に言おう。
ゲームに登場する全ての2Dに関する仕事はおまえが一人でやれ。
だった。
えええええええええええ。 俺「あのー。チーム内に2Dやったことある人は……」
先輩「……居ないよ。がんばって」
ちなみにコレがどれくらい大変な仕事か解らないだろうから、 簡単に説明すると、 たとえば、タイトルが出て、プレススタートボタンて出て、 スタートボタンを押したら、ピロリンて音がして、 画面が切り替わって、モード選択画面が出てきて、 そのモードを上下で選択して。
ってことをやるのです。全部。 キーを押したら動くとか、次の画面に移行するとか、 音を鳴らすとか。全部。 まだよくわからないね。
タイトルを1。 次のモード選択画面を2としよう。 モードを選択したら、「このモードで良いですか?はい/いいえ」と出る。 これを3としよう。
そのゲームには300まで番号が割り振られました。
あははははは。
ちなみに、 全ての仕様が一応、できあがったのが10月。 締め切り12月。
3ヶ月で300画面作ってね。 あ。それと、仕様まだできてないから。
ふ……ふ……ふ…… ふはははははははは。
俺は切れた。
とりあえず、仕様を無理矢理にでも完成させなくては話にならない。 使えない(その後飛ばされた)企画の人間の尻をたたいてたんじゃ間に合わないから、 自分で仕様を作成して、その企画の人に見せるという作業。 でも、この人が使えないくせに意味のないところに拘泥する。 (だから、使えないとも言う) 企画「この画面には所持金を表示させたい」 デザイナ「もう画面に情報が多すぎて、表示させられない」 俺「何で表示させたいんですか?ここ、お金使わないですよね。 しかも、次の画面では表示させないってなってますけど」 企画「なんとなく」
……俺は切れた。
もう、その企画の人をスルーして、その上司に直接掛け合うようになった。 俺「ここって、買い物をした後に、はい/いいえを聞かないんですけど、 ほかのシーンだと全部はい/いいえを聞いてますけど、良いんですか」 企画「こんなの誰だって解るんじゃない?」 俺「いや、でもほかのシーンだと聞いてますよ。じゃあ、そっち削除します?」 企画「いや、それは不親切だよ」 俺「だったら、ここでも聞かないと不親切じゃないですか?」 企画「そうなんだけど、これはさ……」 俺「(長引きそうだな……)済みません、○○さん(上司)、ここって、こうなんですけど」 ○○さん「あ、それはあった方が良いね」←即答
ってなかんじ。 こんなやりとりが毎日続いた。 それプラス画面の作成×300。死ぬかと思った。 終わりのない作業だった。
ちなみに僕にはもう一個仕事があった。 それはDVDを焼くという作業。 兎に角前の会社はプログラマ使いが荒かった。 DVDを焼くなんてプログラマじゃなくてもできんだろ?あ? っと思うんだが、 何か、「DVDを焼くのには修行が必要」とか、 よくわかんない事いうプログラマがほかのチームにいたこともあってか、 なんか、プログラマの仕事だった。
当時、DVDライタを買うのを会社が渋っていたおかげで、 (数万円を渋ることが信じられないが) DVDライタは2倍速だった。 ライタ用のマシンも低速なマシンだった。
ちなみに、焼くための手順は次のようなプロセスだった。
データを作成(30分) ↓ コンパイル&動作確認(30分) ↓ DVDに焼く用の仕様でコンパイル(30分) ↓ データを焼きマシンにコピー(30分) ↓ イメージ作成(30分) ↓ 焼き作業(60分)
というわけで、焼くよーと言ってから、 焼き上がるまで、3時間半くらいかかるのだ。 で、途中でミスがあると位置からやり直しなので、 夕方5時に焼き始め→焼き上がることには終電無し。 というすてきなコンボも用意されていた。
この次の年から、 俺によるライタを買えと言う運動や、 先輩によるもっとコンパイルを早くする方法や、 なんやかんやで、この作業は最終的に、1時間くらいに収まるようになる……
……のだが、このタイトルが発売されるまでは、 この3時間半の地獄は続いた。
これを、僕がやるのである。 焼き上がるまでは帰れない。 たまに、優しい先輩が、今日は俺がやるからかえって良いよ。 と言ってくれることもあるのだが、 大体その前日に俺が徹夜している日だったりする。
月曜の朝来て、火曜の終電で帰り、 水曜の朝来て、木曜の終電で帰り、 金曜の朝来て、土曜の終電で帰り、 日曜の昼来て、月曜の終電で帰り、(土日は少しゆっくり来てた)
そんな日が3ヶ月続いた。 200画面くらい作ったところで、 コレは間に合わないだろうと見かねた先輩達が、 いくらか手伝ってくれて、 気づいたら完成していた。
もう、年が明けていた。
残業代は一切出ず、
精も根も疲れ果てた。
ストレスと夜食で、3ヶ月で15キロ太った。
もう辞めよう。
心に誓った。
次回は……もう4年経つし、良いかなあ。 俺の人格を疑うなら疑ってください。 悪いのは完全に僕だし、 これも、辞めると言うことに大きく関わっているのだから。
−−愛欲篇に続く。
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