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2006
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・思春期
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青春朴訥物語・思春期・第56章
ぬるり。 とした感触があった。どうやら頭の皮が切れてしまっているらしい。 畜生。あいつら、4人がかりで……。 だが、どんなに言い訳をしてみても、負けてはいけないと言う父の教えは、春宵の髄まで染み渡っているのだろう。 目から、涙がとめどなくあふれてきた。 畜生。もう一度つぶやいてから涙をぬぐい、春宵は壁にもたれながら立ち上がる。 路地の向こうに視線を感じた。 「春宵君!」 その視線は自分の名前を呼んだ。麗子先生だった。 「どうしたの。こんなに傷だらけで」 「うるせえな。ほっといてくれよ」春宵は涙の後を見られまいと顔を背けた。 「ねえ、春宵君……お腹すいてない?先生これから夕食なんだけど一緒に食べない」 「うるせえな。お腹なんてすいて……」 春宵の体はしかし正直だった。春宵の腹からグウと言う音が……
カーーーーーット
はいちょっと、カメラ止めて。 あ。春宵君お疲れ、君ちょっと休んでていいよ。 麗子先生も少し休んでて。
おい、脚本家!
これ、どういうことだ。
お腹がすいたら腹がグウと鳴る。 昔から、漫画やドラマでよくある手法だが、
……鳴る?
いや、お腹が鳴ることは、生涯で2回くらいはありましたよ。 でも、別にお腹減ってるから鳴ったことはないし、 お腹が減ってるからといって鳴らしている人も見たこと無いんですけど。
……ああ、でも調べると鳴っているみたいですね。
え?俺がおかしい? どう?鳴る?
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