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2006
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/17
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・くわい
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夏になると思い出す。
昔、バブル期にうちの両親がだまされて土地を買った。 きっと、値上がりしますから。 そういう口車に乗せられて、がけの上の一軒家を買った。 買った後に後悔しても仕方ないということだったのか、それとも本当に土地の値段が上がると信じていたのか、夏になると毎年その家に遊びに行った。 年に1回しか行かないので、草は伸び放題で、家の中もゴキブリの卵のようなものがたくさん落ちていて、それの掃除に行くという意味もあったのだろう。 いつの頃からか僕は行かなくなったが、今でも両親は毎年お盆になるとその家に行っている。 覚えている記憶は僕が小学校6年生の時だったと思う。 僕には妹がいて、僕が小学校1年生になる少し前に生まれたから、その当時はおそらく6歳くらいだったのだろう。 その年も、両親と、妹と4人でその家に遊びに行った。 夜になると、父親が買ってきた花火をやるのが毎年の慣わしで、いつもは妹は幼いから見ているだけだったのだが、その年はもう小学生だからということで妹も花火をやった。 僕はちょっとからかってやろうと、花火を妹のほうに向けて、火花が妹に当たって熱がるのを楽しんでいた。 あはは。危ないわよ。何て、母親も、父親も、そして僕も楽しんでいた。 僕にとって想定外だったのは、その花火が、途中で爆ぜるギミックを仕込んでいたことだった。 パン。 という音がして、……後はどうなったのか良く覚えていない。 母親が、何か叫んだような気もするし、……がけに……驚いた妹が、よろよろと…… ……いや、おそらく、気のせいだろう。
だって、僕に妹は居ないのだから。
ただひとつ気になるのは……うちのアルバムには僕の小学校時代の写真が極端に少ないということだ。
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