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2006
/9
/24
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・館山
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ああ、厭だ。 何故、私は此処に居るのだらう。
産み落とされてから常々思っていることではある。 何故、私は此の世界に居るの可。 否。 そんなに難しいことではないのだ。 そんなに哲学的なことではないのだ。
何故、私は辞めた筈の映画部の合宿に参加しているのだ。 それも1泊2日館山の旅。 ということなのだ。
揺れるバスの中、私はそんなことを考えていた。
一番厄介なのは、2年次の先輩なのだ。 私は確かに3年次である。が、映画部に所属したのは(したのか?) つい先日の若輩者なのである。 だからーー。 そんなに敬語を使われても困るのだ。 むしろ、私のほうが。
「よくわかんねえよ。このシナリオ」
何故か、今日渡したばかりらしいシナリオに目を通した1年が言う。 予め渡しておいたのだから、1年にも渡しておけばいいのに。 7人の1年は、映画を撮ることよりも、夜に酒を飲むことのほうが重要であると言い放つ。 あゝ、帰りたい。
合宿前日に、明日までに絵コンテを書いてきてと言われるが、 絵コンテの書き方など分からないので、結局、絵コンテは無し。 っていうか、本当に俺が監督なのか? っていうか、監督って何やるのさ。
なんだかんだで、俺とカメラマンをやっている部長の彼以外、 全くストーリーが分かっていないまま撮影は行われる。 どれくらい分かっていないかと言えば、 え?俺、殺されるの? と、被害者役の男が言うくらいだ。
何とか撮影も終わり、酒タイム。 酒ははっきり言って嫌いだった。 が、撮影が終わるや否や酒だと駆けていく1年を見ている内に、 むかっ腹が立ち、イライラが募り、 大嫌いだったビールを瓶ごと一気した。 ああ、酒も悪くないかもなあ。 真夜中、海辺で一気するビールを初めて、美味いと思った瞬間だった。 そう考えると、俺の酒の歴史はこの部活にあったのだろう。
さて。 映画というのは撮って終わりではない。 この後、何をするかと言えば編集である。 だが、それが想像を絶するほど大変なことを、 海辺で酔っ払っているこの男はまだ、知らない。
続きます。
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