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2007
/12
/25
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・魍魎の匣
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前述のとおり、映画魍魎の匣を見る。
まあ、原作大好きだし、 っていうかもうマニアなので、 映画を面白いと思えるわけ無いな。 と思ったんですけどね。 意外と面白い。
ただ、これ、魍魎の匣じゃない。
魍魎の匣の世界観と設定を使って作った映画であって、 魍魎の匣の映画ではない……と思う。
京極夏彦原作ということで、 原作を読んだ人も読んでない人も、 ミステリとして見に行くと思うのだが、 ミステリは無い。
ミステリというより、謎がない。
たとえば、原作では冒頭、 2人の女の子のうち1人が列車に轢かれる。 もう1人の少女は、はじめはその少女が自ら飛び込んだというが、 数日して、黒衣の男が押したことを思い出す。
・黒衣の男の正体は誰か。 ・少女はなぜ数日間そのことを思い出せなかったのか。 ・犯人はなぜ、少女を押したのか。
これらがかちりと嵌っていく様に、 これすげえ! と思ったものですが、これはばっさりカット。
一事が万事で、そのほかの謎も全てカット。
まあ、わからなくもないが、 そのおかげで、整合性に齟齬が出てきている。
これがないから、あれもない。 あれがないから、意味が通じない。
そういう意味では、そこはしっかりやって欲しかったなあと。 ミステリをなくしたなら無くしただけの理由と整合性をきちんとつけて欲しかった。
まあ、原作を読んだ人には物足りなく、 原作を読んでいない人には色々意味がわからないという、 外側は同じなのに、内面は空っぽという、 まさに不思議な箱のような映画だといえるかもしれない。
そういえば、とあるブログで眩暈坂が階段なのは何の冗談か。 というようなことを書かれていたが、あれは眩暈坂ではなく、 ただの神社に続く階段だと思う。 古書屋までの道が眩暈坂なのです。
あと、ある男の最期は圧巻。 いや、何いきなりギャグになってるのさって感じで。 あれはダメだろう。と思うのだが。
まあ、もし、あの映画を見て何か思うところがあったら、 原作を読んでみることをお勧めしますよ。 謎のたくさん詰まった、まさに匣形の本にあっけらかんとするかもしれませんが。
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