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2013
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・1日目〜2日目 世界の中心で愛を叫んだケモノ
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あのとき、俺は確かに、浮かれてたんだ。 俺は、23時45分発の飛行機に乗った。 その前もなかなか寝付けず、 ほとんど寝ていない状態だったんですよ。 そんな状態だったんですが、 飛行機の中で、 ウルヴァリン・サムライに、 アイアンマン3、 中学生円山を見て、 (ところで、以前乗った飛行機は、 好きな映画を好きなタイミングで 見ることは出来なかったのですが、 今は出来るようになってるんですね。 ハイテクノロジー万歳) 酒飲んで、寝て、機内食食って、 それはそれは楽しかったですね。
8時間堪能した後は、 ドバイで乗り換えて。
そういえば、ここで3人掛けの席に、 奥さん(外人)・旦那(外人)・俺 という配置になったんだけど、 旦那が、前の席が1人しかかけてないから、 前の席に移動したらどうだ? 俺もお前も体格がヤバイから。 と(多分)言ってるんですが、 ああいうのって、どこまでそれが許されるのか、 イマイチよくわかってないんですよね。
何か、飛行機の席って勝手に変えている人居ますよね。 いいのかな。
確かにそれは良いアイディアだけど、 やっていいのかわからないんだけど。 と、伝えたいけど言葉がわからないので、 困ったような表情をしていたら、
この使えない東洋人が! 俺が前に行く! と、前に言ってしまいました。
奥さんと分断してしまったので、 悪い事したなあ。 特にスッチ……“客室乗務員”にも、 何も言われてないし。 (ああ、言葉狩りって面倒くさい)
# 調べたら、移動オッケーなんですね。国際線は。へえ。
で、マドリード到着。 マドリードには昼に到着し、 そこから、トレドと言う街にオプショナルツアーに参加予定だったので、 この飛行機では爆睡。
機内食がコチラでも2回出て、 こんなに食べて飲んで寝てしていると、 豚になっちゃうよ。 (もう、なってるよ) とか思いながら、 飛行機を降りる。
そこから、20時間ほど絶食になるとも知らないで。
飛行機を降りたら、荷物を受け取り、 地下鉄の駅にダッシュです。
地下鉄を写真撮影していたら一本逃してしまいました。
あらあら。 と思いながら、 時計を見ると、結構ぎりぎりな時間。 やべえ。
ホテル行って荷物預けて、集合場所まで…… 何とか行けるか? ホテル行くのに迷ったら終わりだから、 集合場所にスーツケース持って行って、 預かってもらおうか。 あー、でも、その場合、事前連絡くれって書いてあったなあ。 そうしておけば良かったなあ。 あ、でも、間に合うか? 間に合わなかったらタクシー使うか?
とりあえず、乗り換えるにせよホテルに行くにせよ、 降りる駅は同じなので、 地下鉄に乗車。
 地下鉄。こんな写真を撮ってたら、 1本逃して、時間的にも厳しくなってる(←バカ)。
鞄の中の財布を確認します。 お金が入っています。 全部同じ所に入れておくと危険だから、 ホテル付いたら分散しないとなあ。
あ、鞄に入れておくと鞄をひったくられたらヤバイから、 コートのポケットに入れておくか。
財布を、コートのポケットにしまいます。
スリが多いって話だけど、 フランスでも、イタリアでも、 インドでも、ベトナムでも大丈夫だったし、 流石にコートのポケットから取られたら気づくだろ。
そう思って、 コートのポケットに入れたのです。
今思えば。 なぜ、そんなことを思ってしまったのか。 なぜ、分散しなかったのか。 なぜ……。
駅に着いたら、財布を取り出し、 切符を改札に通そうとすると、 入れるところが無い。
そう。
ヨーロッパでは (といってもフランスとスペインとイタリアしか知らんけど) 乗車時には切符をチェックするくせに、 降車時には特にチェックしないんですよね。 不思議。
って事は、キセルしほーだいじゃねーかって思うんですけどね。
まあいいや。
で、取り出した切符を財布にしまい、 その財布を、コートのポケットに仕舞いました。 公衆の面前で、臆面も無く。
スーツケースを持った旅行客が、 財布をコートのポケットに入れる。
こんなの、今考えれば、 魚にえさをあげているようなもんです。
しかし、そのときの俺は、 気づかれずにスルなんて夢物語、 ファンタジーの世界ではあるけれど、 流石にポケットに手を突っ込まれたら解るだろ。
くらいにしか思っていなかったのです。
駅を出て、時間が無いから早歩きです。 スーツケースが重いです。 10分ほどで、ホテルが見つかりました。
スペインは、町中に通りの名前が書いてるのと、 ほとんどの家や店に数字(番地)が書いてあるので、 迷わずに着くことが出来ました。
チェックインの時間まではあと45分ほどあったので、 荷物だけ預かってもらおうと思ったら、 部屋の鍵を渡されました。 もう、チェックイン出来るのね。
時計を見たら、結構ギリギリ。 でも、急いで駅に行って地下鉄に飛び乗れば、 間に合いそうな時間です。 部屋にスーツケースを置くと、急いでホテルを飛び出します。
やばかったらタクシー使うか。 でも、ちょっとお金もったいないかな。
まあ、でも、タクシーという手段も考慮しないとな。 えっと、財布は……
……ん?
あれ?
ポケットに入れたつもりが、 鞄に入れてたっけ?
……んんん?
えあ?
いやいやいやいや。
えっと。
んー?
なんだ?
さっき部屋にうっかり置いてきたか?
ホテルに引き返し、 部屋に戻る。
んー。 無いね。 またまた。 ウソだよね。 冗談だよね。 悪夢だよね。 きっとほんとうのぼくは まだひこうきのなかにい てたのしいえいがをみた りきないしょくをたべた りさけをのだりねたりうそ うそうそすしすぷあおえうへほうあへkjね!?
あらゆる感情が脳から吹き出してきて、 フロントにダッシュ。
俺、財布落としてないか? I lost my wallet. Do you know? 文法も何もかもきっとめちゃくちゃです。 でも、walletが何か通じません。 money。money caseと説明すると、 解ったという顔で、胸から財布を取り出します。 え? もしかして、ここで落とした? 希望の光です。 何だ俺。何やってるんだ。 一瞬喜びの表情を浮かべると、 フロントは言います。 ちげーし。これ、俺のだし。 my walletだし。
……えええええええ。
ぬか喜びってヤツです。 困ってる様子を伝えると、 ちょっと待ってろとどこかに電話をかけはじめました。 なんだ? 警察か? 大使館か?
財布にはカードも何もかも入っているんで、 どうしようお金を得るすべが全く無い。 どうしようどうしようどうしよう。 あ。そもそも、今日の夕飯どうするんだ? 抜きか? いや、それより、明日からどうするんだ? あそこもあそこもあそこも行きたかったけど、無理なのか? いや、それより、15時からのオプショナルツアーは? もう、15時過ぎてる。無理か。 ああ、無理なのか。 無理? え? え?え? 明日行く予定のフラメンコは? 無理なの? ここまで来て、何もせずに帰るの? ばかなの? 死ぬの? いや、そもそも、 バルセロナ行きの電車のチケットはあるけど、 そこまで行く電車代どうするの? バルセロナ行けないと帰れないよ? どうするの? サグラダファミリアも見られないの?
そんなことを絶望の中考えていると (ちなみに上の文章を書いているときに、 そのときの気分を思い出して、脳がぐわんぐわんして、 ちょっと吐きそうで、泣きそうです) 変われと言われて、電話を渡されました。 もしもし! と、思わず日本語で叫ぶも、 ノノノノ。テープだ。と言われます。 確かにテープが何か言っています。 英語です。 さっぱり解りません。 しばらく待て。とフロントの人。
しばらく待つと、 日本語が流れてきました。
土日はお休みです。 月曜に電話してね。 大使館より☆ (意訳)
そう。
そうなんです。
この日は日曜日だったんだああああああああ。
しかし、このとき脳裏に天啓がひらめく。 そうだ。 アレがあったじゃないか。 アレなら。 普段、アレは信用していないんだけど、 念のためかなあ。と漠然と思って入ったアレがあるじゃないか。
そう、
アレとは、
海外保険!
海外保険の会社に電話をかければ、 何とかしてくれるんじゃねえ? 確か、電話番号メモってたはずだ。
と、フロントに電話番号を見せると、 フリーダイヤルだから、この電話使って良いよ。 と、ロビーの電話を貸してくれる。
早速電話。
だが、この電話がさらに私を絶望へと追いやるのです。
電話の内容(意訳) ・現金とカードは保険がきかないから、 財布代と免許再発行代のみしか払えないよ。 ・それも、日本に帰らないと払えないから。 ・あ、財布代と免許再発行代が欲しかったら、 警察には届けておいてね。じゃないと払えないから。 ・助け? そんなもん無理だよ。大使館にでも連絡すれば。
……んーーー。 全く役にたたない。 大使館の番号だけ教えてもらって、 絶望の淵で電話を切る。
とりあえず、警察行くか。 と思って、フロントに聞くと、 警察をこのホテルに呼ぶことは出来ないから、 自力で行け。タクシー代くらいはあるだろう? と言われ、ノーマネーと告げると、 じゃあ、歩いて行け20分くらいだと言われる。 絶望。
とりあえず、どうしたら良いか、思案していると、 そうだ、このホテル、Wi-Fi無料って聴いてたことを思い出す。 インターネットしたいんだけど。 と言ったら、Wi-Fi接続用のパスワードを渡される。
急ぎ部屋に戻り、とりあえず、クレジットカード止めないとと、 ノートPCを取り出し、 電源ケーブルをセットし、 ……あれ? 電源ケーブルが無い。 うわ。 ノートPCの電源ケーブルだと思ってたの、 PS Vitaの電源ケーブルだ。 同じSONY製品だから間違えちゃった。テヘペロ。
……テヘペロじゃねえ!
えっとどうするどうするどうする? 君ならどうする? わーいでんじまんがたすけにきてくれたよ。
違う! 今は現実逃避をしている場合じゃ無い。 考えるんだ。
そうだ。 iPhone!
iPhoneで無線に接続すると、 果たしてネットに接続は出来た。
電話番号をメモり、電話をかける。 特に設定はしていなかったが、普通に使える。 そう、iPhoneならね。
って言ってる場合じゃ無い。 クレジット会社に電話。
……フリーダイヤルとか、コレクトコールには 海外だからか通じない。 終わった……のか?
いや、まだだ。 海外 お金が無いで、検索。 何々。国内に居る家族に頼め? その手があったか!
実家に電話。 つながらない。 世界時計で日本の時間を見ると、 午前0時頃(現地時間16時頃)。 これじゃあ、親は起きてないよな。 親は……? そうだ、妹だ。 妹の携帯に電話!
電話代がもったいないので、早口で用件だけ伝え、 後はメールでやりとりするよう依頼。
メールだと無料だからね。
とりあえず、じゃあ、警察に行くか。 いや、その前に念のために駅に行くか。 と、外に出る。 夕暮れのマドリードに無一文。 ため息交じりでとぼとぼと歩く。 今頃は、トレドで楽しんでいる予定だったんだけどなあ。 つい数時間前まで、 機内食で太っちゃうよとか思いながら、 ワインを飲みまくってたあの男を思い出す。 ああ、お腹すいたなあ。 駅着いたなあ。 ここだなあ。 ここで、財布取り出したなあ。
超万が一財布落としていて、誰か拾ってないかなあ。 駅員ぽい人が居たので、 I lost my wallet.というが、 やっぱりwalletが通じない。 発音が悪いのか、英語がわからないのか。 money,money,money caseとか何とか言うも、 No.ときっぱり。 とりつく島も無い。はあ。
そこから警察に向かって歩き出すが、 ホテルを挟んで逆側なので、 途中で疲れ果てる。 もういいよ。 警察行ったって、 財布代と、免許証代くらいしか返ってこないんだろ? iPodも盗られたってことにするか? そんな詐欺行為は行えないよなあ。 警察行って、通じない英語しゃべっても、時間と体力の無駄だし。 そんなことより、金を入手する方法をなんとかしないと。 部屋に戻ったら妹から何か連絡来てるかも。
そう思い、部屋に戻ると、案の定妹からメール。 カード会社は全部連絡した。 あと、この番号にかけると、緊急キャッシングができるよ。と。 そう。 ネットでお金が無い 海外で検索したところ、 クレジットカードに入っていれば、 送金してくれるサービスがあるとのこと。 その番号を聞いていたのだ。
携帯でその番号にかける。 (あとで気づいたのだが、その番号はフリーダイヤルだったので、 ホテルのロビーの電話でかけさせてもらえば良かった……) 状況を説明すると、出来るだけ急いで送金するように、 マスターカードに連絡するとのこと。 緊急クレジットカードも作れますがどうしますか? と言われるが、手数料が16000円かかるとのことで、 それは高いと、送金だけにしてもらう。 送金は手数料はかからないとのこと。 どれくらいで送れるかはわからないが、極力急ぎますと。 1時間ほどで、マスターカードの会社から折り返しますと言われ、 電話を切る。
ありがたい。 あの、何もしてくれなかった (とはいえ、仕事だし、 できることはないのだろうから しかたないといえばないのだが) 保険会社とは大違いだ。
とはいえ、送金はいつになるか解らない。 ネットで調べてみると、即座という人も居れば、 数日後という人も居る。 マドリードを出るのは明後日。 それまでに送金してもらえないと、 バルセロナに行けない。 駅まで歩くことを考える。 調べると約5キロ。 行けないことは……ないのか?
この、知らない街を? 5キロ? スーツケース持って?
そんなことを考えたり、 ネットを見たりしていると、 1時間半が経過。 連絡が来ない。
ホテルの番号を間違えて伝えたのか…… あるいは…… 不安と眠気が襲ってくる。 もう一度、かけてみる。 と、さっきの人。 ちょっと時間がかかるみたいですとのこと。 すみませんと言って電話を切る。 日本につながっているみたいで、 日本は朝3時くらいだと言うのに。 大変だなあと思う。
そこから1時間。 まだ連絡が無い。 やはり不安だ。 そして、眠い。 くたくただ。心も、精神も、体も。
頼む……早く……
もう一度電話する。 遅いので、ちょっと確認してみますと言ってくれる。
そして……
待望の…………
ホテルの電話が、鳴る。
聞くと、送金手続きは済んだ、 ウエスタンユニオンという会社に行って手続きを行えば、 お金は手に入るとのこと。 ウエスタンユニオンの場所は、 ネットが出来るなら、ネットで調べれば、 すぐに解るはずとのこと。
急ぎウエスタンユニオンに接続し、 検索する。 英語のページしか無いけど何とかそれっぽいのを見つける。 見ると、歩いて行けそうな範囲に、 まだ(午後8時に)開いているっぽい店がある。 どうする? でも、もしお金が手に入ったら、それは心強い。 何より、夕食が食べられるのはありがたい。
行くか。 どうせ外ではネットは使えないしと、 携帯も何もかも置いて、 外に飛び出す。
ごろつきっぽい人が暗がりに居るが、 こっちはもう無一文だ。 矢でも鉄砲でも持ってきやがれってんだ。
何も持たないことの強さを感じつつ、 住所の場所に行くが、 それらしき店はなし。 来る途中、もう閉まってはいる者の、 ウエスタンユニオンの看板のあった店があったので、 明日行ってみるかと心に誓い、 ホテルに戻り、風呂に入って、寝ることにする。 気がつけばもう午前0時。
何か、眠れない。
不安が怖い。
隣の部屋の音や、 上の部屋の足音が響き渡る。
ああああああああ。
どうなるのだろう? どうなるのだろう? どうなるのだろう? どうな
気づけば意識は泥濘の中。 目が覚めたら、きっと飛行機の中。
そんな、無理な妄想を抱きながら。
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